Junos オペレーティングシステム(Junos OS)を使用する Juniper デバイスの認証には、Unix 認証を使用します。
このヘルプでは、スキャン用に最小限の権限が必要なカスタムログインクラスを作成し、このカスタムログインクラスをスキャンユーザアカウントに関連付ける方法について説明します。
Junos OS では、コマンド、設定階層レベル、ステートメントに対してアクセスまたはパーミッションを付与することができます。これにより、ユーザはアクセス権を付与されたコマンドのみを実行し、アクセス権を付与されたステートメントのみを設定および表示できるようになります。ユーザに対して許可または拒否する動作モードのコマンド、設定ステートメント、および設定階層の指定に拡張された正規表現を使用することができます。これにより、権限のないユーザが、ネットワークに損害を与えるおそれのある重大なコマンドやステートメントを実行および設定するのを防ぐことができます。
Junos OS ではユーザのグループに対してパーミッションを割り当てる場合にログインクラスを使用します。各ユーザはログインクラスに属している必要があります。スキャンユーザアカウントに対して必要なパーミションを付与したカスタムログインクラスを定義することができます。アカウントは、これらのデバイスのスキャンに必要なコマンドを実行できるように設定する必要があります。
コンプライアンススキャンの場合:
show interfaces statistics
show configuration|display xml
脆弱性スキャンの場合:
show version
cli show version
show bgp summary
cli show bgp summary
show chassis hardware
cli show chassis hardware
Junos OS を使用するデバイスのスキャンに必要な最小限の権限は、次のパーミッションになります。この一連のパーミッションフラグにより、スキャンユーザアカウントには情報の表示が許可されますが、情報の変更は許可されません。
パーミッションフラグ |
説明 |
admin |
設定モードで show configration 動作モードコマンドを使用してユーザアカウント情報を表示できます。 |
interface |
設定モードで show configration 動作モードコマンドを使用してインタフェース設定を表示できます。 |
routing |
設定モードおよび動作モードで、一般的なルーティング、ルーティングプロトコル、およびルーティングポリシー設定情報を表示できます。 |
shell |
start shell コマンドを使用してルータまたはスイッチのローカルシェルを起動できます。 |
snmp |
設定モードおよび動作モードで、SNMP(Simple Network Management Protocol)設定情報を表示できます。 |
system |
設定モードおよび動作モードでシステムレベルの情報を表示できます。 |
view |
各種のコマンドを使用して、現在のシステム全体、ルーティングテーブル、プロトコルに固有の値や統計などを表示できます。シークレット設定は表示できません。 |
以下の手順に従ってカスタムログインクラスを作成し、異なる階層レベルにおいてパーミション(必要最小限の権限)を指定します。次に、スキャンユーザアカウントをこのクラスに追加します。
1)カスタムログインクラスを作成します。この例では、“ mytestclass ”という新規カスタムクラスを作成します。以下に例を示します。
[edit system login]
root@pcavmx14# edit class mytestclass ?
Possible completions:
<[Enter]> Execute this command
| Pipe through a command
2)新しいカスタムクラスへ移動します。以下に例を示します。
[edit system login class mytestclass]
root@pcavmx14# set permissions ?
Possible completions:
[ Open a set of values
access Can view access configuration
access-control Can modify access configuration
admin Can view user accounts
admin-control Can modify user accounts
all All permission bits turned on
clear Can clear learned network info
configure Can enter configuration mode
control Can modify any config
field Can use field debug commands
firewall Can view firewall configuration
firewall-control Can modify firewall configuration
floppy Can read and write the floppy
flow-tap Can view flow-tap configuration
flow-tap-control Can modify flow-tap configuration
3)次のコマンドを使用して、カスタムログインクラスに必要なパーミッションを割り当てます。1 つのコマンドに複数のパーミションフラグを含めることも、個別のコマンドを使用することもできます。
[edit system login class mytestclass]
root@comvmx14# set permissions interface permissions system permissions snmp permissions routing permissions view permissions shell permissions admin
4)スキャンユーザアカウントを作成し、これにカスタムログインクラスを関連付けます。次の例ではユーザ“ scanuser ”をカスタムクラス“ mytestclass ”に関連付けています。このクラス/ユーザでは、各種のパーミッションフラグに対して読み取り専用のパーミッションのみが付与されています。これは、このユーザは情報を変更できないことを意味しています。
[edit system login]
root@comvmx14# set user scanuser class mytestclass